Dscyレポート
さて、来年は点数改正の年で、どの様な目玉改定が実施されるかは興味のあるところだが、来年の改正において現在の補綴物等の作製における使用金属量の見直しに手を付けて、それに関しての調査を行うという話もある。
そこで思い出すのが歯科の不正請求日常化の見解である。例えば前回の改正で包括化されたが、それまでは「ラバーダム」の点数があった。そして、当時言われていたことが「ラバーダム」に関する架空(水増し)請求の話である。それは、保険請求で生じるラバーダムの使用量の方が実際消費されているラバーの量よりもはるかに多いというのである。ただし、この件については「うわさ」というレベルでの話しか聞いたことは無いし、実際に比較した数字も目にした事が無いので、事の真実に対しては?という面もある。また、余談ではあるが、「1回使用したラバーを洗って又使っているから、請求量と購入量は合わないよ」という話を聞いたことがあるが、これはこれで問題だと思うのだが、まぁそれはおいといて(^^)
それと同様に言われているのが、保険請求を元に計算される金パラの使用量と実際に消費されている金パラの購入量の乖離である。つまり、請求金属量の方が消費金属量のよりも多いと言われることである。これも、実際にどの程度の乖離があるのか数字を見たことは無く、ある意味うわさの域を出ていない。しかし、個人的にはこの乖離は出て当たり前だと思うのである。その理由は、以下で述べることにする。
では、この乖離が何故におこるのか?
(1) これは従来から言われているように、金パラで請求して実際は他の金属(銀合金等)で請求する場合である。これは、過去の保険医取消における処分理由でもあきらかになっているから、確かにあるのであろう。もちろん、どの程度かは不明だが。
(2) 保険点数で設定されている使用金属量が多すぎて乖離が生じる。
これらの事例が考えられるが、(2)の是正を行うことにより点数を引き下げることが可能と考えて上記のような厚生労働省の見直し検討という事になったのであろう。
そこで、今回は永久歯の臼歯部のFCKの点数における金パラの使用量に対して考えて見たいと思う。
まず、FCKの金属の設定使用量だが、厚生労働省の発表では、補綴物等の金属価格の点数は公表しているものの個々の補綴物の使用設定金属量は公表していない。従って平成14年~20年の点数改正時の各補綴物の金パラの補綴物の点数と金パラの薬価から推定せざるを得ない。
それによると、
# FCK(大臼歯): 平成14年(3.517g)、16年(3.528g)、18年(3.512g)、20年(3.519g)で、その平均は3.519gである。
# FCK(小臼歯): 平成14年(2.512g)、16年(2.513g)、18年(2.512g)、20年(2.521g)で、その平均は2.514gである。
それに対して実際の使用金属量の一例では以下のようになる。
※ 使用金属量(金パラ)の計算について: サンプル金属量は外注技工所から研磨後に納品された量を計測し、作製時の損量(20%と仮定)を加算した重量とする。
# FCK(大臼歯): サンプル総数25、最小重量(1.52g)、最大重量(5.76g)、平均重量(2.87g)
# FCK(小臼歯): サンプル総数24、最小重量(0.90g)、最大重量(3.31g)、平均重量(1.99g)
これらより
# FCK(大臼歯): 保険使用設定金属量(3.519g) - 使用金属量(2.87g) = 0.649g(+22.6%)
# FCK(小臼歯): 保険使用設定金属量(2.514g) - 使用金属量(1.99g) = 0.524g(+26.3%)
という事になり、約20%強の乖離があることが推定される。しかし、この乖離が適切なものであるか不適切なものであるかは一概には言えないであろう。
この要領で他の修復物等も計算してみたい
# 硬レ前装冠: サンプル総数23
保険使用設定金属量(3.141g) - 使用金属量(1.16g) = 1.981g(+170.8%)
# インレー(大臼歯・複雑): サンプル総数17
保険使用設定金属量(2.227g) - 使用金属量(0.84g) = 1.387g(+165.1%)
# インレー(大臼歯・単純): サンプル総数4
保険使用設定金属量(1.200g) - 使用金属量(0.70g) = 0.500g(+71.4%)
# インレー(小臼歯・複雑): サンプル総数15
保険使用設定金属量(1.624g) - 使用金属量(0.54g) = 1.084g(+200.7%)
まず、断っておくとサンプル数が少なく、また歯科医院の治療方針(設計方針)等により、使用金属量は大きく異なる可能性があり、また20%という損量も適切かはわからない。従って、このデータをもって保険で設定している金属量との乖離を云々するつもりは無い。しかし、総じて以下のような事が言えると思う。
(1) 保険診療で設定している使用金属量は総じて実際の使用金属量よりも多いのでは無いかと思われる。
・ 金パラの実勢価格が少々保険点数を上回っても金パラに関する収支が赤字となる可能性は少ない。従って、現在6ヶ月毎に10%以上の乖離が生じた場合に金パラの改定をしているが、それを速やかに反映するために改定期間を短くと言う意見があるが、そこまでする必要があるかは一考の余地がありそうだ。
・ 前述のように、金パラの保険の請求点数(量)と実際市場で消費されている金属量に乖離があるからといって、歯科医院ではどこでも不正請求を行っている的な考えは控えていただきたいものである。
(2) ひいき目で見ても、保険診療で設定している使用金属量と実際の使用金属量にはプラスの乖離があることは明白と思われる。そのため、保険点数改正時にこの点をつかれて、歯科医療費削減の標的にされる可能性がある。従って、公的な場所における議論の際に、歯科代表はきちんとした統計データに基づいた主張を出さなければ、提出した資料を根拠に押し切られる可能性がある。つまり、歯科医療界においてもきちんとした根拠を背景に物事を判断する、その根拠の収集に努力する必要があるということなのである。
Dscy Report:090915
南アの全国鉱山労働者組合は、電力会社エスコムのストライキが避けられない状態になってきたことを明らかにしたが、エスコムの電力供給量はなんと南ア全体の95%、アフリカ全体の45%にも及ぶと言うから驚き。もしストライキによって電力供給不安が高まれば、当然鉱山の操業に影響が出るであろう。南アは金やプラチナの世界有数の産地なので、鉱山の操業に影響が出れば、当然国際貴金属市場に影響が出ると思われる。
一方、来年、IMFが金の売却を行うといううわさもあり、その情報が最近の金価格の頭を抑えているという話しもある。こういった要因が最終的に金価格にどのように影響するか?その辺を見極める必要があろう。
南アと言えば、2008年1月にも電力供給不足がおきて金鉱山の操業がストップし、金価格は1オンス924.30$の過去最高価格をつけた。とすれば今回も充分考えられる話しである。
金パラの薬価は1~3月は808円、4~6月は638円で、この間の薬価の平均は723円(21,690円/30g)であった。それに対して1~6月の金パラの実勢価格(DscyOfficeの計算値)は税込み計算で17,652円で、この間の金パラの差益率は+22.9%と大きくプラスであった。
この+22.9%は直近では平成20年下半期の+25.1%に次ぐプラスではあるが、それ以前の3半期は-15.4%~-9.5%と赤字であったので通算の黒字幅は平成19年以降の計算では+2.4%とさほどのものではない。
この+2.4%。プラスだから良いというわけでも無い。これはあくまでも変動相場の平均値から出された数字で、その間「高値で仕入れた歯科医院」と「安値で仕入れた歯科医院」とでは大きく収益率が異なり、場合によっては赤字になった歯科医院も多いのではないだろうか?
そういった意味でも、変動相場である金パラの仕入れには充分注意をはらう必要があると思われる。
Dscy Report:090708
歯科における再治療として大きな割合を占めているのは以下の二つと思われる。
(1) 齲触処置の再治療
(2) 根管処置の再治療
これらのデータはマメに統計を取っている歯科医院や、レセコンから自動的にデータを抽出できる歯科医院では出てくるのだろうが、一般的にはなかなか数字として出てくることはない。また「再治療」という概念も「同一医療機関内での再治療」と「他の医療機関も含めての再治療」とがあるが、特に後者は一医療機関で把握できることでは無い。しかし、データを見る方向を転じれば、保険者ではこれを把握しているのだろう。もっとも、度々保険資格が変わるような場合にはどうかはわからないが。
このように、再治療というものは常につきまとうのが歯科現場の実態であるが、さてその割合はと聞かれて答えられる人は少ないのだろう。
では、何か指標になるものは無いかと思って考えてみた。そこで、一つ思い出したのが「金パラ」の「使用量」と「回収量」である。
もっとも、これだって正確な指標になるわけでは無い。なぜなら、回収する場合に「口腔内に入っていた金属の全量」を回収できるわけでは無いし、またその回収した金属の全てを自分の医療機関で入れたわけでもないだろう。また、例えば左上5番を抜歯して46番のFCKをはずしてBrにする場合を純然たる再治療に含めても良いのか?意見が分かれるところであろう。
そういった点を踏まえて、乱暴な計算ではあるが上記の「使用量」と「回収量」を比較してみた。その数字は歯科医院によって大きく異なるのであろうが、調べた範囲では約10~20%という数字が得られている。何回も言うが、これをもってインレーやクラウンの再治療率を10~20%と断定づけるわけではないが、大きな意味での一つの指標にはなるのではないだろうか?
5月18日に開かれた財務相の諮問機関である財政制度等審議会は2010年度の保険点数改正において、「開業医の報酬を引き下げ、病院勤務医に重点的に医療費を配分する」方針を固めた。なぜなら現在の病院勤務医の激務は、開業医と勤務医の所得格差により開業医志向が強まっているとの見方による。では、開業医と勤務医とではどのくらいの所得格差があるか?6月3日の財政制度等審議会では、「勤務医の平均年収は約1415万円であり、開業医の概ね半分程度」とのことである。
たしかに、勤務医の激務の解消は早急に解消する必要があり、その視点として開業医と勤務医の収入格差を論じるのも良いだろう。しかし、その場合以下のポイントに配慮した比較が必要なのである。
# どの程度の格差なら妥当なのか?若しくは格差があっていけないのか?
# 開業医が高すぎるのか、勤務医が低すぎるのか、それとも両方か?
と言うことを視点に考えてみたいと思います。
(1) 自営業者である開業医の年収とサラリーマンである勤務医の年収を比べること自体がピントハズレ
よく報道なので、開業医と勤務医の「収入」という比較をするのをみられるが、「収入という観点では無く、所得という観点で比較することがまず第一の基本である。
そもそも、開業医(自営業者)は収入から人件費をはじめとした諸経費を差し引いた金額が概ねサラリーマンの収入となる。経費率は個々の事業所によって異なるが仮に70%とすれば開業医の収入が4000万円の場合、勤務医の収入に該当する数字は約1200万円と言うことになる。
(2) 開業医と勤務医の仕事の内容は異なる
開業医の所得には勤務医と同じ医療行為に対する報酬に加えて、経営者としての管理報酬、そして資本家としてのみなし配当報酬も含まれている。まぁ、わかり安く言えば、マスコミに勤める例えばアナウンサーが2000万円の給与を会社から貰うために、その会社の株式を5000万円買って、それも配当無し。これがみなし配当という意味である。そもそも医療行為は営利で行ってはいけないということになっている。つまり配当禁止ということなのでこういった比較にはみなし配当報酬は含めない方が良いという考えもあるのだが。でも、この配当禁止も抜け道が沢山ある。例えば開業医であれば給与に加算するという方法もあるし、かりに法人病院の出資者にクリーニング業者がいれば、配当は無くても病院のクリーニングや清掃を一手に受注して、そこで安定した利益をあげるということも可能である。
自治体が出資する病院はともかく、民間の一個人が医療事業に資産を出資したらなんらかの見返りを考えるというのは至極当然のことなのだ。もし、完全に配当禁止ということを前提に考えるなら、開業医と勤務医を同じ条件に考えなければならないから、病院の勤務医は就職時に給与にみあった出資金を払い込みする必要がある。いや、勤務医だけでなく病院に勤務する人は全てとなったらどうだろう?いや、推し進めて会社に就職するにはその会社の株式を購入しなければならず、且つ無配であれば、日本社会はどうなるのだろう?
これらを踏まえれば、開業医の報酬にはみなし配当報酬も含まれることは歴然である。
さて、ではみなし報酬をどのくらいと考えるか?仮に出資金1000万円(もちろんこの金額で医院はたたないので残りは借金ということになるのだが)とすれば5%配当で50万円ですねぇ。
(3) 年収6000万円の持つ意味
仮に年収(年間売上)6000万円の歯科医院があるとする。仮に週休1日で1日10時間診療すると、1年間の診療時間は10×313=3130時間(これは週休2日で1日8時間働いた人が月に100時間の時間外労働をするのに等しい)。つまり1時間であげなければならない収入は約2万円。1分にすれば300円ということになります。
それに対して
① 初診料: 1820円(約3分分)
② 再診料: 400円(約40秒分)
③ 抜歯(臼歯): 2600円(約4分半分)
これからわかるように、右から左に患者さんを流していかなければできない数字でしょう。カルテを書く時間もけっこうかかるんですよ。まぁ、保険診療で、超過勤務せずにこの数字をあげるのはなかなか無理があるでしょう。
では年収6000万円の歯科医師の所得はどのくらいになるか?経費率70%で1800万円ですね。
しかし前述のように出資金は1000万円ですから、開業に5000万円かかったとすると4000万円の借金があり、それを所得の中から返済しなければなりません。この場合、何年で返済するか?そして、減価償却費という経費分を利用しての返済ということも加味しなければなりませんが、取り合えず10年で減価償却費以外の返済分を借金の半分と仮定すると、2000万円を10年で返済することになるので、年間所得は1800-200=1600万円ということになる。
(4) 必要経費
よく自営業者はサラリーマンに比べて必要経費が認められるから良いという話しをします。では開業医と勤務医を比較すべき必要経費とは概ね以下のものが考えられます。
① 通勤費: たしかに開業医は経費で車が買える。とはいうものの、そういった比較は何も開業医VS勤務医だけの話では無く、自営業者VSサラリーマン全てで言えることでしょう。サラリーマンの方には通勤手当などのありますから、まぁ比較上はチャラということで。
② 被服費: いわゆる仕事着の白衣などは、開業医は経費で賄えますし、勤務医は病院からの支給でしょうから実質的に負担はないでしょう。
③ 研究図書費: 医師という仕事上これは結構負担が重いですね。開業医の場合には図書費や学会への出張費など全額経費で賄えます。勤務医はどうでしょう?もちろん自費で購入したりする書籍代や旅費の負担は大きいのではないでしょうか?まぁ、計算上ある程度は開業医には無い給与所得控除で賄えるとは思いますが。また、勤務先によっては図書費や学会への出張費が出たりすることもあるでしょう。
逆に開業医にとって負担となるのは、学会や研修会への出張時は医院を休診する必要があるということです。休診をするということは、自分の収入が減少するという影響だけでなく、従業員の給与を含めた医院の固定費の資金源が減少するという意味では非常なマイナスです。校医をしていれば学校の健診、その他乳幼児の健診など、その間医院を留守にする経済的なマイナスは非常に大きいです。しかし、勤務医の場合には学会への出張などはたぶん有休の範囲で賄われるのでしょう。
(5) 実質給与の比較
上記のように開業医VS勤務医では比較上補正すべき点が多々あります。次は実際の給与比較時のポイントを考えて見たいと思う。
① 社会保険料
開業医は通常「国民年金」と「医師(歯科医師)国保」に加入しているのに対して、勤務医は「厚生(共済)年金」と「健康(共済)保険」に加入しているのが通例だ。
これらを比較しようとしても、それぞれ保険料や給付金が異なるので難しいので、保険料の負担金で比較してみよう。
「国民年金」や「医師(歯科医師)国保」は全額自己負担であり、配偶者や扶養家族がいると保険料は加算される。それに対して「厚生(共済)年金」や「健康(共済)保険」は半額が事業主負担であり、配偶者や扶養家族がいても保険料は加算されない。
平成19年9月分の厚生年金保険料は14.996%、政管健保保険料は9.43%(介護保険第2号分を含む)。従って合計保険料24.426%の半分の12.213%は事業主負担となり、実質的な所得とも言える。
② 賞与
開業医の月収(月間所得)を12倍すると年収(年間所得)になるが、勤務医の場合にはその他に賞与(ボーナス)が加算される。賞与は勤務している病院などによって異なるが、平成21年5月の人事院勧告によると年間4.5ヶ月という数字がある。
③ 退職金
開業医に退職金は無いが、勤務医には退職金があるのが通例だ。これも勤めている病院によって大きく異なるのだろうが、25才から60才まで35年勤務で、退職金は35ヶ月分と仮定する。
# これらの①②③を勘案して、仮に開業医の月収を200万円、勤務医の月収を100万円と仮定すると以下のようになる。
※ 開業医の年収(年間所得)=200万円×12ヶ月=2,400万円
※ 勤務医の年収(年間所得)=(100万円×12ヶ月)+(100万円×12ヶ月×0.12213)+(100万円×4.5ヶ月)+(100万円×1ヶ月)=1200万円+146万円+450万円+100万円=1,896万円
つまり、月収で比較すると2対1の開業医と勤務医の収入も、こういった補正を加えて比較すると、1.266対1.0となる。
従って、よくマスコミの報道で表示される月収の比較は、恣意的に開業医の収入を際だたせて多くみせる効果となっている。したがって、単純に収入の比較をする場合にも、この程度の補正を加えた年収で比較してほしいものである。
財政制度等審議会の資料では勤務医の給与が約1,415万円で開業医の約半分としている。この場合、年収の比較なので、賞与などの補正はされているが、その他の補正はされていないので、給与の単純計算で考えても、約20%は差が縮まるのだろう。ましてや、平均年齢の補正や、資本支出、立場の違いなどを加味すれば、その差はもっと縮まるのだろう。
従って、こういった審議において「開業医の年収は勤務医の年収の倍」といった評価が一人歩きしないようにしなければならないのである。
★ その他の考察
# 医療経済実態調査によると、病院経営医師の平均年齢が病院勤務医医師よりも10才以上上であり、場合によっては勤務医の給与の平均値には研修医等のいわゆる低賃金の医師のデータも入っている可能性が高く、必然として開業医の方が勤務医よりの高いデータが出やすい。
# 一般の企業の場合もそうであるが、医療機関でも大規模な所は、福利厚生事業が拡充していたり、子供を預けながら務められるように託児所が整備されている所もあり、場合によっては安価に社宅?を利用できる所もある。こういったものも、ある種現物給与の意味合いを持つことがある。
# 労働生産性の解釈
労働基準法においては、医療機関の職員の法定は大規模事業所と小規模事業所では異なる。大規模事業所では法定就業時間は週40時間であるが、小規模事業所では週44時間で単純に考えれば労働時間が1割長い。従って、労働生産性を同じで同じ業務量で比較すると、大規模事業所では小規模事業所に比べて1割従業員が多く必要であるし、結果人件費の増加により収益率の低下は必然である。
つまり、小規模医療機関、つまり開業医における生産性は大規模事業所に比べて長い労働時間に支えられているといっても良い。おまけに、給与や休日、福利厚生などに関しても大規模事業所に比べて良いとは言えない。それらの事情も医療現場における人手不足の一因になっているのだろう。従って、開業医の収入が勤務医に比べて多いから減らせと言った議論の前に、職員の労働環境の改善に資金を廻すように取り組む姿勢も重要であろう。逆に言えば、大規模事業所の職員が小規模事業所の職員並の労働条件で働けば赤字と言われる多くの病院の収支もだいぶ改善するのではないかと思われるが、言われるまでも無く、それは本末転倒なのだ。
# 蛇足
病院の収支と言えば、こういった話がある。
・ 病院は人の集まる所なので現代では駐車場がかかせない。駐車場の購入管理費(賃借料)の収支に与える影響は大きい。したがって、駐車場の経費を圧縮する手法としての裏技。病院の周囲にたとえば市立公園を配置し市立公園としての駐車場を整備し、事実上病院の駐車場として利用する。病院のような収益事業での収支計算にはうるさいが、公園などの支出にはうるさくないのが世間というもの。こうすれば、駐車場関連経費を圧縮できるので収支は改善する。もっとも、そもそも公立の駐車場は経費のうちの大半を占める固定資産税が非課税ではあるので、民間病院よりも恵まれてはいるのだが。
これぞ、「公的病院の会計の裏技」か?
Dscy Report:090615
平成21年4月21日 財務省主計局資料より(平成19年度)
# 審査支払いコスト
支払基金:764億円、国保連:1,030億円、労災保険情報センター:32億円
# 職員数
支払基金:4,525人、国保連:4,956人、労災保険情報センター:346人
# 審査委員数
支払基金:4,536人、国保連:3,512人
# 取扱件数
支払基金:9.64億件、国保連:8.39億円、労災保険情報センター:458万件
# 請求額
支払基金:117,310億円、国保連:163,874億円、労災保険情報センター:2,243億円
# 査定額
支払基金:1,894億円、国保連:2,167億円、労災保険情報センター:35億円
# レセプト1件当たりの審査コスト
支払基金:79.25円、国保連:122.77円、労災保険情報センター:698.69円
# 医療費1万円当たりの審査コスト
支払基金:65.12円、国保連:62.85円、労災保険情報センター:142.67円
# 査定率
支払基金:1.61%、国保連:1.32%、労災保険情報センター:1.56%
※ 労災分は規模が小さいために、全体的に高コストのようだ。
※ レセプト1件当たりの審査コストは支払い基金に比べて国保連が高い。しかし、医療費1万円で比較すると大きな差はないが、逆転している。これは、国保連の対象が高齢でレセプト1件あたりの医療費が高額になることが原因と思われる。
Dscy Report:090525
平成21年10月金パラ改定はあるか?
4月末現在におけるDscyOfficeの試算であるが、仮に5月・6月とも現在の金パラ価格の水準で推移すると仮定すると、平成20年10月改定との乖離は-3.91%(単純計算)となり、10月の金パラ改定は無い予想だ。
では、今後どういった価格変動が生ずれば金パラの価格改定が考えられるか?これも単純計算であるが、仮に5月・6月の平均価格が16,000円であれば乖離率は-5.85%、15,000円であれば乖離率は-7.78%、14,000円であれば乖離率は-9.71%となり、よっぽど大きな価格変動がおきない限り10月の価格変動は無いのではないだろうか?
平成18年12月31日現在の歯科医師の現況調査によると、
歯科医師総数: 94,593(内診療所:82,324・87.0%)
29才以下: 7,962(内診療所:3,187・40.0%)
30~39才: 21,355(内診療所:17,242・80.7%)
40~49才: 26,319(内診療所:24,326・92.4%)
50~59才: 23,504(内診療所:22,410・95.3%
60~69才: 8,499(内診療所:8,238・96.9%)
70才以上: 6,954(内診療所:6,921・99.5%)
平均年齢: 47.9才(内診療所:49.8才)
という結果になっている。
この中で、いわゆる現役歯科医の年代を70才未満(70才以上の歯科医師を現役世代では無いというつもりはありませんが、取り合えず一つの設定として)と仮定すると、現役世代の歯科医は87,639(92.65%)となる。
以下はDscyOffice独自の計算であるが、今後も現在と同じレベルの年間約2,200人の歯科医師国家試験の合格者(歯科医師の新規参入)があると仮定すると、各年におけるデータは概ね以下のようになる。
なお、計算は概算であり、70才以下時の死亡や、女性歯科医の未就業といった要因は加味していない。
# 平成28年(10年後): 歯科医総数109,377(現役世代100,878・92.23%)、平均年齢51.0才
# 平成38年(20年後): 歯科医総数122,878(現役世代99,374・80.87%)、平均年齢54.4才
# 平成48年(30年後): 歯科医総数121,374(現役世代95,055・92.23%)、平均年齢54.5才
ところで、あくまでもうわさであるが、今回の歯科医師国家試験の合格者は1,500人という話しもある。それも成績上位者1,500を合格とするという変な話し。というのは歯科医師国家試験は資格試験であり、選抜試験では無いのだから。まぁ、事の真実は不明だが仮に今後歯科医師国家試験の合格者が毎年1,500人で推移すると仮定すると、上記の計算は以下のようになる。
# 平成28年(10年後): 歯科医総数99,927(現役世代91,428・91.49%)、平均年齢52.7才
# 平成38年(20年後): 歯科医総数106,428(現役世代82,924・77.92%)、平均年齢56.9才
# 平成48年(30年後): 歯科医総数97,924(現役世代71,605・73.12%)、平均年齢57.3才
この数字をみると、年間の新規参入は1,500人では平成48年には歯科医師の平均年齢は実に57.3才になる。しかしこれは現役世代の歯科医の比率が下がるためで、現役世代のみを分母とした平均年齢をみると、平成18年:45.5才、平成28年:50.3才、平成38年:51.0才、平成48年:49.6才となり現役世代の歯科医の平均年齢は概ね51才をピークとした高原上になる。
平成48年の現役世代の歯科医は約71,000名で現在の約80%。しかし、昨今の少子化により日本の人口も今後減少し、国立社会保障・人口問題研究所の推定人口によると、平成18年:1億2776万人、平成28年:1億2496万人、平成38年:1億1850万人、平成48年:1億971万人と減少していくことを考えると、平成48年試算で、歯科医1名あたりの人口で現在の約83%(現役歯科医1名あたりの人口で約105%)となる。
仮定を戻して、今後の歯科医の新規参入を現状の2,200人で試算すると、平成48年には歯科医1名あたりの人口は現在の約67%(現役歯科医1名あたりの人口で約79%)と激減するわけだから、国家試験の合格者1,500人という数字はあながち眉唾とは言えない数字であり、是非とも達成しなければならない数値目標なのかも知れない。
ところで、日歯年金や福祉共済はどうなるものやら。
※ 以上、独断と偏見における計算なのだ。
# Dscyレポート090323


