乳幼児に対する健康診査の実施について
(平成一〇年四月八日)
(児発第二八五号)
(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省児童家庭局長通知)
母子保健行政の推進については、かねてより格段の御配慮を煩わしているところであるが、今般、妊産婦及び乳幼児に対する健康診査のうち、妊産婦健康診査及びB型肝炎母子感染防止事業が一般財源化されたことに伴い、母子保健法第一二条及び一三条に規定する健康診査について、別紙のとおり実施要綱を定め、平成一〇年四月一日から適用することとしたので、御了知の上、管下市町村及び関係団体等に周知徹底し、本事業の適正かつ円滑な実施を図られたく通知する。
なお、妊産婦健康診査及びB型肝炎母子感染防止事業に要する経費については、地方交付税で措置されることとなるので念のため申し添える。
おって、平成九年四月一日児発第二五二号本職通知「妊産婦及び乳幼児に対する健康診査の実施について」は廃止する。
別紙
乳幼児健康診査実施要綱
第一 総則的事項
一 実施主体
事業の実施主体は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)とする。
二 健康診査の種類
健康診査の種類は、一歳六か月児健康診査、三歳児健康診査とする。
三 実施対象者の把握及び周知徹底
(一) 実施対象者の把握
市町村は、住民票等により対象者を把握する。
(二) 周知徹底
市町村は、各種の広報機能を利用するとともに、母子保健推進員、愛育班等の積極的な協力を求め、あらかじめ診査の趣旨及び期日又は期間、場所その他必要な事項についての周知徹底に努める。
四 実施体制の確立
(一) 体制の整備
市町村は、健康診査の実施に備えて、健康診査を担当する医師、歯科医師その他必要な職員の確保に努めるとともに、健康診査に必要な器具、健康診査票等を整備して実施体制を確立し、事業の円滑な運営を図る。
(二) 関係機関との連携
市町村は、健康診査の実施に当たり、保健所、医師会及び歯科医師会等と十分に連携を取り、計画の策定、事業の実施について協力を求めるとともに、健康診査後の診断の確定及び事後指導に当たっては、できる限り専門医の技術的援助の下に健康診査の質の向上が図られるよう保健所、医師会及びその他関係機関との連携を図る。
また、福祉事務所、児童相談所、教育委員会等関係諸機関との緊密な連絡の下に、事業の効果的な推進を図る。
なお、市町村が健康診査で知り得た内容に関して関係機関と連携を取る場合においては、受診者又はその保護者(以下「受診者等」という。)の了解を得た上で行う等その取扱いには十分留意すること。
(三) 健康診査の実施方法
健康診査は、市町村保健センター、母子健康センター等において行う集団健康診査、又は医療機関等に委託して行う個別健康診査により実施する。集団健康診査として行う場合には、複数の市町村が広域の協力体制を組む方式、医師、歯科医師、助産婦、保健婦(士)等がチームを組んで行う巡回方式、他の月年齢の健康診査との合同方式としても差し支えない。
(四) 健康診査の委託
健康診査を医療機関等に委託して行う際には、以下の事項に留意する。
ア 医療機関等の選定については、それぞれの地域の関係団体と十分協議し、適切な医療機関を選定すること。
イ 健康診査の結果について、速やかに市町村に報告されるよう体制の整備を図ること。
ウ 健康診査に際しては、その結果に応じ、事後的な経過観察、治療処置等の必要性について、受診者等の理解が十分得られるよう体制の整備を図ること。
エ 個々人に応じた適切な健康診査が実施されるよう、定期的に医師等の研修を行い、またはこれを行うよう都道府県又はその設置する保健所に依頼すること。
オ 同一の医療機関ですべての健康診査を実施することが困難な地域においては、できる限り住民が身近なところで受診することができるよう、実施体制の整備について柔軟な対応を図ること。
カ 委託契約の方法については、原則として受診者等の利便等に配慮した契約を行うものとするが、各市町村の所在する都道府県以外における医療機関との間において行うことも差し支えないものとする。
(五) 母子保健地域組織等の活用、育成強化
母子保健地域組織等民間団体に対して、本事業の趣旨の徹底を図り、地区住民に対する事業の啓発普及、事業の実施に関して積極的な協力を求める。なお、健康診査に引き続き、母子保健推進員、愛育班等の活動を利用して母子保健の推進に努める。
五 健康診査の実施
(一) 健康診査の担当者の編成
健康診査は、十分な経験を有し、保健医療に習熟した医師、歯科医師、助産婦、保健婦(士)、看護婦(士)、栄養士及び歯科衛生士、心理相談を担当する者等により実施することとする。
(二) 健康診査票等
市町村は、各健康診査に関する健康診査票を定めるものとし、医療機関に委託して行う個別健康診査においては、あらかじめこれを交付するものとする。また、市町村保健センター、母子健康センター等において行う集団健康診査においては、受診者等に対して、事前に健康診査の問診票を配布し、又は実施会場において担当者が問診することにより受診者の状況を把握する。
なお、医療機関に委託して行う個別健康診査及び「七 精密健康診査」に規定する精密健康診査については、市町村は、健康診査票の交付状況、実施状況を明確にしておくため、受診票交付台帳等を備える。
(三) 健康診査票の記入、保管
健康診査票に医師、歯科医師が健康診査の結果を記入して、市町村が保管し、事後の保健指導等に活用する。
(四) 母子健康手帳の活用
健康診査においては、母子健康手帳の内容を参考とし、それまでの発達状況等を確認するとともに、実施した健康診査の結果について同手帳に記入する。また、児の健康状態の一貫的な把握を行うため、保育所等が実施する健康診断の結果について同手帳への記入がなされるよう、協力を求めるとともに、保護者が自らその結果を確認するよう指導する。
六 事後指導等
(一) 受診者等に対し、健康診査の結果を口頭で伝え、又は通知するとともに、必要に応じ適切な指導を行う。
引き続き指導の必要がある場合は、市町村保健センター、母子健康センター及び保健所等において事後指導を受けるよう勧奨するとともに、必要に応じ訪問指導等を行う。
なお、事後指導に当たっては、受診者等に対する指導に遺漏なきよう関係機関相互の密接な連携を図る。
(二) 事後指導においては、事後指導票を作成し、事後指導及び措置の内容について記載する。
(三) 健康診査の結果、経過観察、精密健康診査、処置又は医療等が必要とされた者に対しては、適切な事後指導を行う。医療機関において医療を行うことが必要な場合には、対象者のかかりつけ医との緊密な連携のもとに、本人の健康状況に応じた的確な対応が図られるよう留意する。
なお、育成医療の給付、療育の給付等医療の給付が適用される場合には、手続等を指導する。
七 精密健康診査
(一) 実施体制
ア 精密健康診査の委託又は依頼は、精密健康診査受診票を対象となる受診者等に交付して行うものとする。
なお、医療機関に委託して実施する個別健康診査の結果、精密健康診査を要すると認められた者は、市町村に精密健康診査受診申請書を提出するものとする。
イ 精密健康診査の実施に当たり、医療機関への委託及び精密健康診査の結果の管理等については、市町村が行うものとする。
(二) 市町村における事務
ア 市町村は、委託医療機関から送付された精密健康診査受診票に基づき、当該精密健康診査の結果を健康診査票の備考欄又はこれに準ずる欄へ記載するとともに、受診者等に通知する。
イ 市町村は、精密健康診査の結果、引き続き指導の必要があると判断した場合は、委託医療機関又は当該市町村を管轄する保健所(以下「保健所」という。)等において事後指導を受けるよう指導するものとする。
ウ 市町村は、保健所等における事後指導が必要と認められた場合には、健康診査結果の内容を保健所等に報告するなどにより事業の効果的な推進を図るものとする。
エ 市町村は、精密健康診査の未受診があった場合、これを受診するよう勧奨する。
八 診査費の請求及び支払
(一) 委託医療機関は健康診査及び精密健康診査に要する費用を、健康診査票又は精密健康診査受診票により市町村に請求するものとする。
(二) 精密健康診査が健康保険等の給付として行われた場合において、委託医療機関が市町村に対して請求することのできる額は、健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(平成六年厚生省告示第五四号)により算定した額から、保険者が負担すべき額を控除した額とする。
(三) 精密健康診査が、保険医療機関又は療養取扱機関以外のものによって行われた場合、その他健康保険等の給付としてでなく行われた場合において、委託医療機関が市町村に請求することができる額は健康保険の診療報酬の例により算定した額とする。
(四) 市町村は、委託医療機関から請求書を受理したときは、その内容を審査確認の上、健康診査及び精密健康診査に要した費用を支払うものとする。
第二 各論的事項
一 一歳六か月児健康診査
(一) 目的
幼児初期の身体発育、精神発達の面で歩行や言語等発達の標識が容易に得られる一歳六か月児のすべてに対して健康診査を実施することにより、運動機能、視聴覚等の障害、精神発達の遅滞等障害を持った児童を早期に発見し、適切な指導を行い、心身障害の進行を未然に防止するとともに、生活習慣の自立、むし歯の予防、幼児の栄養及び育児に関する指導を行い、もって幼児の健康の保持及び増進を図ることを目的とする。
(二) 健康診査の種類
健康診査の種類は、一般健康診査、歯科健康診査及び精密健康診査とする。
(三) 実施対象者
ア 一般健康診査及び歯科健康診査の対象者は、満一歳六か月を超え、満二歳に達しない幼児とする。
イ 精密健康診査の対象者は、一般健康診査の結果、心身の発達異常、疾病等の疑いがあり、より精密に健康診査を行う必要があると認められる者であって、次のいずれかに該当するものとする。
(ア) 身体面については、それぞれの診療科を標ぼうしている医師に委託することが妥当なもの。
(イ) 精神発達面については、医療機関又は児童相談所に依頼することが適当なもの。
(四) 項目等
ア 一般健康診査の項目は次のとおりとする。
① 身体発育状況
② 栄養状態
③ 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
④ 皮膚の疾病の有無
⑤ 四肢運動障害の有無
⑥ 精神発達の状況
⑦ 言語障害の有無
⑧ 予防接種の実施状況
⑨ その他の疾病及び異常の有無
⑩ その他育児上問題となる事項(生活習慣の自立、社会性の発達、しつけ、食事、事故等)
イ 歯科健康診査は、歯及び口腔の疾病及び異常の有無について行うものとする。
ウ 精密健康診査については、第一の七 精密健康診査に定めるところによるものとする。
(五) 留意事項
健康診査に際して行われる指導においては、家族の育児面での情緒を養い、児童に対する虐待防止等が図られるよう、十分留意した指導を行うものとする。
二 三歳児健康診査
(一) 目的
幼児期において幼児の健康・発達の個人的差異が比較的明らかになり、保健、医療による対応の有無が、その後の成長に影響を及ぼす三歳児のすべてに対して健康診査を行い、視覚、聴覚、運動、発達等の心身障害、その他疾病及び異常を早期に発見し、適切な指導を行い、心身障害の進行を未然に防止するとともに、う蝕の予防、発育、栄養、生活習慣、その他育児に関する指導を行い、もって幼児の健康の保持及び増進を図ることを目的とする。
(二) 健康診査の種類
健康診査の種類は、一般健康診査、歯科健康診査及び精密健康診査とする。
(三) 実施対象者
ア 一般健康診査及び歯科健康診査の対象者は、満三歳を超え、満四歳に達しない幼児とする。
イ 精密健康診査の対象者は、一般健康診査の結果、心身の発達異常、疾病等の疑いがあり、より精密に健康診査を行う必要があると認められる者であって、次のいずれかに該当するものとする。
(ア) 身体面については、それぞれの診療科を標ぼうしている医師に委託することが妥当なもの。
(イ) 精神発達面については、医療機関又は児童相談所に依頼することが適当なもの。
(四) 項目等
ア 一般健康診査の項目は次のとおりとする。
① 身体発育状況
② 栄養状態
③ 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
④ 皮膚の疾病の有無
⑤ 眼の疾病及び異常の有無
⑥ 耳、鼻及び咽頭の疾病及び異常の有無
⑦ 四肢運動障害の有無
⑧ 精神発達の状況
⑨ 言語障害の有無
⑩ 予防接種の実施状況
⑪ その他の疾病及び異常の有無
⑫ その他育児上問題となる事項(生活習慣の自立、社会性の発達、しつけ、食事、事故等)
イ 歯科健康診査は、歯及び口腔の疾病及び異常の有無について行うものとする。
ウ 精密健康診査については、第一の七 精密健康診査に定めるところによるものとする。
(五) 留意事項
健康診査に際して行われる指導においては、家族の育児面での情緒を養い、児童に対する虐待防止等が図られるよう、十分留意した指導を行うものとする。

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